- 6サイクル機関のQ&A-
(6サイクルエンジン)

Q(質問)
A(質問に対する回答)

1.この6サイクル機関(エンジン)とは、どのようなエンジンですか。

 4サイクルエンジンの【吸気】【圧縮】【爆発・膨張】【排気】の4行程の後に、【掃気吸気】【掃気排気】、の2行程を追加したものです。6行程で1サイクルを構成するのでSix-stroke cycle engine とも言います。
 フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』に燃費競技の実績とこの行程の説明図を掲載しておきましたので参照してください。燃費競技に使われ、何度も世界記録を樹立しています。

2.他にも6サイクルエンジンと呼ばれるものはあるのでしょうか。

 私の知っているだけで以下のようなものがあります。
1.燃焼室を水で冷やし、そのときの蒸気圧力を回収しようというディーゼル機関
【吸気】【圧縮】【爆発・膨張】【排気】【水噴射・蒸気膨張】【蒸気排気】の6行程
2.ディーゼル機関の排気を再燃焼させてスモークの低減を図ったもの
【吸気】【圧縮】【爆発・膨張】【排気】【再圧縮】【再爆発・膨張】の6行程
3.ユニフロー型の2サイクルガソリン機関のシリンダーヘッドに吸気バルブを備え、2サイクルと4サイクルを交互に行い、6行程で2回爆発するもの。
【掃気後圧縮】【爆発・膨張】【排気】【吸気】【圧縮】【爆発・膨張】
色々考える人はいますね。

3.今回のタイプの6サイクル機関はいつ頃考えられ、使われ始めたのですか。

 私の知っている特許出願で最も古いものは昭和47年7月31日(1974年)出願の特開昭49-33014ですね。当初は掃気により排気ガスが浄化される効果があると考えていたようです。
 燃費競技で使われたと公表されたのは1985年です。しかし、その内容は発表されませんでした。内容が多少とも公開されたのは2003年優勝車のエンジンが紹介された2004年Vol.58N0.10自動車技術p26-29です。

4.6サイクル機関の主な狙いは何ですか。

 もちろん燃費向上です。掃気によりエンジンを内部から冷却することにより、燃焼室の壁面や排気バルブを冷やすことにより、圧縮比を高め、燃費を向上させます。
 吸気のときに燃焼室内に排ガスが残留していると、燃焼室内に吸気された混合気(空気とガソリンの蒸気の混合気)の温度が高くなります。その状態で、燃焼室壁面、例えば排気バルブ等の温度が高いと、更に局部的に温度が上昇し、ガスは圧縮されることによっても温度が上昇するので圧縮行程で自己着火してしまいます。それをノッキング(異状燃焼)といいます。最近は制御が良くなってあまり聞くことができせんがエンジンを低回転で回すとカリカリいうのがそうです。これが発生しにくくなるので圧縮比を高めることができるのです。
 圧縮比を高められると今度は膨張するときの膨張比を高められることになります。この爆発後の膨張比が高いほど効率が高められるのです。

5.効率以外の6サイクルエンジンの利点は?

 そうですね、冷却が簡易化できることだと思います。
 掃気が燃焼室の内部冷却を行なっているので、冷却水に廻る熱量は減ります。 4サイクルで強制空冷のものが自然空冷で済めば、フィンの駆動力が不要となり出力、効率、騒音の点でメリットは大きいと思います。水冷のものも油冷のみで済む可能性があり、機関及び冷却器がコンパクトになる可能性があります。水ジャケットやラジエータが要らなければ、製造コストが下げられ、搭載性も優れます。
  冷却システムが簡易に出来るということは、機関の冷却損失を減らすことが出来るといっていることになります。つまり、これまでは冷却水に奪われていた熱量を動力に変換でき、燃費効率が向上するはずなのですが、このあたりは未だ研究不足で数値化できていません。

 排気タービンなどの排気側へのエネルギー回生デバイスを取り付ける場合に、排気温が低いため耐熱性の低い部品が使えます。
 そのためタービンに限定されず容積型の膨張機も使えるようになりますので、排気タービンの利用できなかった小排気量のエンジンに対する排気の回生が可能となります。 このことは、これまで有効な排気エネルギーの回生方法のなかったスーパーチャージャー付き機関のや小排気量の機関の排気回生が可能となるという言い方が出来ます。またフラットなトルク特性を出すのが難しかったターボ過給機関に対して、スーパーチャージャーと組合せ、トルク特性を改善でき、タービンでは効率の低かった低速や高速の燃費を改善できるという言い方も出来ます。

 発展性としては「回生機付6サイクル機関」への応用性があります。
 これは圧縮比より高い膨張比を得ようとしたアトキンソンサイクル(9.ミラーサイクル参照)を6サイクルエンジンと回生機と組み合わせることにより実現したものです。ミラーサイクルで実現するよりも実圧縮比が高くとれ、低圧時の回生はタービン等の回生機を用いるのでフリクションが少なく回生効率が高くとれますので、内燃機関の中で最高の効率を発揮します。

6.そのような利点がありながら、何故今まで使われなかったのでしよう。

 原因はいくつか考えられます。
 1つ目は、当初の狙いが排ガスの浄化でしたが、通常の考え方です排気に掃気が混合し酸素過多となり、窒素酸化物の還元触媒を用いるには4サイクルの方が適していたからだと思います。
 2つ目は燃費競技の参加チーム内で機密として扱われ、名称以外は公表されなかったからです。そのため6サイクル機関の名が出たのは1985年の1度だけで、それもごく一部のメディアに限られていました。そのためほとんどの人が使っていることを知リませんでした。また知ることのできた者もどのような6サイクル機関であるか想像するしかありませんでした。
 また、このチームが本田技研の社員のチームと報道されたので、他社からは見れば、良いものであれば本田技研が量産するだろうと思われたのです。しかし、このチームは完全なプライベートチームだったのです。
 3つ目はエンジン回転当たりの爆発回数が少なくなるので、出力が低下し、振動が悪化すると考えられたことです。燃費効果が不明である半面マイナス面は明確だったのです。
 100年以上の歴史を持つ4サイクル機関が充分要求に応えていたのですから、いきなり量産エンジンを越えた商品性の6サイクル機関を製作できる見通しを出せるわけは無く、研究機関や開発機関で下部組織から開発の提案をすることが難しかったのです。また、経営者は名前すら聞くことが無かったと思います。たとえ名前だけ聞いたとしても確たる情報もなく開発指示を出すことは出来なかったでしょう。
  そんなわけで、長い年月の間に燃費競技車に使われていることも忘れられ、6サイクル機関が何を指すのかすら忘れ去られていたのです。

7.どのくらい燃費が向上するのですか。

 理論燃費については、2008年の春の自動車技術会の予稿集に「回生機付6サイクル機関」があります。この論文の中で6サイクル機関の効率を4サイクル機関に比較していますが、11.2%向上するとしています。論文の内容から見ると遠慮勝ちに書いてあるので、実際にはもっと向上すると思われます。しかし、フリクションが考慮されていないので高回転では向上分が減ると思われます。
 実燃費についてはデータは公表されていません。

8.他の燃費技術と比較してどうなのですか。

 爆発後の膨張比を高めることで燃費を向上させる技術としてはミラーサイクルがあります。
 上記の論文では4サイクルで9.5の圧縮比を限界とすれば、6サイクルの圧縮比は13.75まで取れるとしています。圧縮比が高いほど熱効率は高くなります。この数値から最近の技術を反映したカローラの1500ccの一般エンジンのレギュラーガソリンでの圧縮比10.5を基準に計算すると、10.5%高い15.2の圧縮比が取れることになります。
 これは現在量産されているミラーサイクルのガソリン機関、マツダ・デミオの圧縮比11、1348cc、90ps/6000rpmをはるかに超えています。これに比べても10%くらい燃費効率が高いということになります。
 トヨタのプリウスも圧縮比13のミラーサイクルエンジンを備えています。ハイブリットと組合せることにより、かなり割り切った設定になっているようですが、この圧縮比も凌駕します。

9.ミラーサイクルとはどのようなものですか。

 レースに行ったことのある方はご存知と思いますが、4サイクル機関は排気管に消音機を備えていなければ、ものすごい排気音がします。これは排気に未だ圧力エネルギーがかなり残っていることを示しています。
 4サイクル機関や6サイクル機関のような容積型機関は燃焼後の膨張率が高い方が、このエネルギーを動力に変換出来、効率が良くなります。クランク機構に複雑な機構を取り入れ、圧縮比より高い膨張比を持たせ、この排気に残る圧力エネルギーを機構を工夫して動力に変換しようとしたものがアトキンソンサイクルと呼ばれています。しかし、構造が複雑で耐久性に問題があったのか使われていません。これを吸気弁の吸気行程の間に早く閉じたり、圧縮行程に入ってから遅く閉じることによって簡易に実現したものがミラーサイクルです。
 吸気を何割か少なくしかシリンダーに入れないようにして (これを充填効率を低くする。と言います。)、機関の圧縮比を高くとり、結果として通常の機関より高い膨張比を確保して効率を向上させたエンジンです。
 三菱重工が発電用ガス機関に利用しています。大阪ガスホームページの図が分かりやすいかも知れません。

10.ミラーサイクルと比較すると出力はどうですか。

 2008年の春の自動車技術会の予稿集の「回生機付6サイクル機関」では、6サイクル機関の出力は4サイクル機関の80.91%になるとしています。
 6サイクル機関は単純に考えると爆発回数が3回転に1回なので4サイクル機関の66.7%の出力になると考えてしまい易いですが、気筒内温度が低いということは圧縮行程開始時により多くの混合気がシリンダー内のあること、及び熱効率が良くなることで、それよりは高い出力になります。
 論文の6サイクルエンジンは還元触媒を用いるために排気ガスに酸素が残らないように、排気を冷却して掃気に回すという仮定で計算しています、出力を求めるのであればこれを新気とすることが出来ます。この分シリンダー内の混合気に酸素が増えるので更に6.6%出力が高まります。つまり86.3%の出力が出ます。
 トヨタのカローラが1496tで110PS/6000rpmであることを考えると、同じ排気量で94.9PS/6000rpmの出力が出るはずです。同一排気量のプリウスのミラーエンジンは90psですから、これよりは出力が出ることになります。
 デミオの出力90psを出すためには、1423ccが必要になります。デミオのエンジンより排気量はやや大きく、燃費はかなり良く、冷却系はシンプルになるという位置づけです。

11. 先ほど論文では遠慮がちに書いてあるといわれましたが、どんな点ですか。

 この論文では、6サイクル機関の圧縮比の決定は圧縮行程終了時点のガス温度が4サイクル機関と同じになるところまで圧縮比を上げられるとして計算しています。その圧縮比を決定する圧縮行程開始時のガスの温度低下をガスの交換効率からだけで計算しています。
このとき燃焼室壁面温度の影響について考慮するために燃費競技車の圧縮比を参照していますが、その影響を織り込みきれているかどうかの点です。壁面温度を推定することが難しかったし、推定できたところで今度は限界圧縮比の計算手法が無かったからです。

 4サイクルエンジンでは排気バルブ付近で異常燃焼が発生します。4サイクルの排気バルブは800℃以上にも達するので、燃焼室に入ってきた混合気を熱し、圧縮行程で圧縮され温度が更に上がれば混合気は自己着火してしまいます。したがってこの排気バルブの温度が最も影響すると考えられます。
  これに対して6サイクルエンジンでは2回の排気のうち1回は冷たい掃気が排気バルブ全体を冷やします。 4サイクル機関ではバルブが着座している間に着座部から冷却水の廻っているシリンダーヘッドに熱を引くことが、バルブの冷却効果として最大のものです。6サイクルでは、1サイクルの間に排気バルブが着座している時間も長いのでそれだけ温度も下がります。更に排気管側のガスは4サイクルでは常に高温の排気ガスですが、6サイクルでは掃気排気行程から次の排気行程までの4/6行程で温度の低い掃気がその部分に滞留しています。つまり、バルブの背面からも長い時間冷却してもらえます。
 これは私のイメージですが、排気バルブ温度は400℃程度で済むのではないでしょうか。
この排気バルブ温度の違いを考慮すれば、排気バルブ付近の吸気の温度上昇は無く、この論文以上に圧縮比を上げることは可能と考えています。

段々質問が深くなります
 

12.6サイクルエンジンは4サイクル並の回転数で回せるのでしょうか。

 6サイクルのシリンダーヘッドには吸気バルブ、排気バルブ以外に掃気バルブが必要になります。 つまり、4サイクルより1種類バルブが余計に必要になります。 このことにより、吸気バルブの面積が4サイクル機関より小さくなって、回転数が上げられないのではないでしょうか。

 それに対しては吸気行程で吸気バルブと掃気バルブを両方開ける手法を紹介します。
吸気には濃い混合気、掃気からは新気を導入することで、シリンダー内で両者を混合し適切な混合気を形成することが出来ます。
 少なくとも吸気行程でのバルブ面積は4サイクル機関並となります。 この方法を以後「シリンダー内混合」と呼んでおきます。

 掃気導入行程のことを考えれば、掃気バルブを吸気バルブより大きくしておきます。掃気導入行程では1つのバルブしか開かないので吸気抵抗は上がりますが、そもそも冷却に使用する掃気の充填効率が多少下がっても最大出力にはあまり影響しないと考えています。

13.排気触媒が常に酸素過多になる問題はどう解決しますか

 掃気が新気であると排気触媒は常に酸素過多になり、窒素酸化物の還元が出来ず問題です。排気浄化は車両用には触媒が一般的です。 出来れば3元触媒を用いたい。浄化効率が良いからです。 しかし、そのためには排気の酸素濃度がほぼ0に制御してやる必要があります。

 それに対する手法としての1つ目はモード走行程度の低出力時には掃気を全量冷却した排気ガスとする方法があります。例の論文にも記載されています。 以後これを[EGR掃気]と呼んでおきます。

 ディーゼル車用の触媒の中には、窒素参加物をアンモニアとして蓄え、時々還元雰囲気にしてやることによりこのアンモニアや窒素酸化物の還元を行なうものもあります。2つ目は この触媒を利用する方法です。高出力時は掃気を新気とし、低出力時には[EGR掃気]に切り替え、又は掃気を無くし触媒を還元する手法が使えます。

 3つ目の手法としては、浄化レベルによっては吸気時にはやや燃料を大目にして窒素酸化物の生成を抑制しておき、触媒では掃気と混合して酸化させるだけにする方法もあります。 オートバイ用とか、まだ公害規制が厳しくない利用分野では有効な手法となると考えています。

 船舶用や発電所用など比較的大型なものや固定式のものであれば水洗法等、酸素が多くても実施できる様々な排気浄化手法が使えます。

14.排気触媒の温度低下が気になります。掃気の混入により排気温度が下がるからです。

 その点については4サイクル以上に排気の保温に気を使う必要があることは確かです。 ただ、掃気については燃焼室の内部冷却を行なっているので、温度は上昇しています。 4サイクルでは冷却水で奪われる熱量が掃気に廻るのです。 排気の量は増えるが総熱量が増えており、逆に触媒が破壊されるほど排気が高温になることもないわけですから、保温に気を使うことで対応できると考えています。

 下記の15の手法も利用可能です。

15.似たような話ですが、暖気時間が長く必要になるのではないでしょうか。

 そうですね。何もしなければ掃気で冷やされる分だけ暖気に時間がかかることになります。
  これに対しては排気バブルを掃気吸気行程でも開くことにより、排気を直接排気バルブからシリンダーに戻す方法があります。エンジンが冷えてしまいやすい燃費競技車が実施している方法です。 つまり暖気時には排気バルブを掃気吸気行程でもバルブが開く暖気カムに切り替えるのです。
 このとき同時に掃気吸気行程で掃気バルブを休止する等、掃気が入るのを防止する手法をとることが望ましいことになります。 これは14の触媒の温度が低下したときにも使える手法です。

16.基本的な質問ですが、無駄行程を追加することは一般に機械効率を低下させ、好ましい結果を生むことはないのではないですか。

 機械ロスの拡大については吸気と圧縮行程の一部に無駄行程を持つミラーサイクルと同様の傾向にあります。 しかし、上記で述べましたようにミラーサイクルより熱効率が高くなり、プリウスのエンジンよりは排気量が小さくて済むわけですから、機械ロスも少なくなります。

17.[EGR掃気]と[シリンダー内混合]の両方を採用したい場合、バルブの数が増えて問題です

 バルブの数は増やしたくないので、掃気内のEGRガスと新気の混合比の調整は機関の外部で行いたいと考えています。 これは今までも吸気に対するEGRガス量の調整は行なわれてきているので特段新しいものでは有りません。

18.6サイクル機関のパーシャル時には1サイクルで吸気行程と掃気吸気行程の2回ポンピングロスが発生するので、パーシャル効率の低下が懸念されますが。

 掃気の量は出力に関係しないので、必ずしもパーシャル時に掃気を絞る必要はありません。但し、排気触媒を用いる場合、排気触媒の温度の低下が考えられますので、上記15の手法を併用してください。
  また 上記、「EGR掃気」と「シリンダー内混合」を同時に行なうことで、スロットルバルブによらずに気筒内の酸素量をコントロール可能なことに着目してほしいと思います。EGRガスの混合比を増やすことでより薄い混合気を燃焼させれば、吸気を搾る必要がその分無くなり、ポンピングロスが削減します。下記の19も参照してください。

更に質問が深くなります

かなり高度な質問になっています。質問の意味が理解できない方もいらっしゃると思います。[EGR掃気]と[シリンダー内混合]のイメージ図を書いて、御自分でもポンピングロスの削減手法を考えてみてください。

19.ポンピングロスの削減と[EGR掃気]と[シリンダー内混合]のそれぞれの対策のイメージは分かるが、3つを同時に成立させるやり方が分からない。

























第1案:第1案としては吸気バルブと掃気バルブに連続可変バルブリフト機構を採用する方法です。掃気バルブの吸気行提と掃気導入行程での開閉を、パーシャル時には早く閉じてやるのです。連続可変バルブを用いて低出力時にはミラーサイクルにするという言い方も出来ます。
 このときの連続可変バルブ機構はリフト量とタイミングを同時に変化させられるものでなくてはいけません。カム軸の位相を変化させると吸気バルブと掃気バルブの吸気行程と掃気導入行程のすべてのタイミングが変化してしまうからです。従来の連続可変バルブリフト機構では適切なものが見当たらなかったので、私自身も[可変リフト機構によるバルブ総開角可変システム]PCT/JP08/052680(未公開)、基礎出願番号 PCT/JP07/064035考えてみましたので参考にしてください。

第2〜3案について:
 まず、吸気バルブのみで出せる出力を考えてみてください。掃気バルブより吸気バルブの方が小さいのですから、最大出力の半分よりやや少ない出力までは吸気バルブのみで出せるはずです。やや吸気抵抗が増えますが、両方のバルブを使うより流速が上がりガソリンの霧化は良くなります。これ以下の出力では、掃気バルブから同時に冷却した排気ガスを導入します。その分吸気バルブからのガス量を減らし、出力を下げます。出力が上がるにつけ掃気バルブからのガスの流入は止めます。
 出力がそれ以上必要な場合には吸気バルブからは濃い混合気を導入し、その分掃気バルブから新気を導入します。最大出力時には掃気バルブからの導入する新気の量を最大にします。
 吸気行提でのガスのフローは上記で良いのですが、単純に実施した場合に掃気導入行程で掃気バルブから冷却用の掃気が導入できなくなる場合があり問題です。その対策として以下の方法を提案しておきます。もちろんこれ以外にもあると思います。

第2案:吸気行程時の掃気バルブの開閉に連続可変バルブリフト機構を採用する。
この連続可変バルブリフト機構は、掃気導入行程のバルブタイミングを変えずに、もしくはそれと独立して制御できる必要があります。
 「1つのバルブを1サイクルで2回開いた上、その片方のバルブリフトを連続可変にする。そんなものは無い。」と思わずに考えてみてください。排気バルブでの実施例ですが上記[可変リフト機構によるバルブ総開角可変システム]にそのようなバルブ機構を掲載しています。

第3案:掃気バルブを2つとする案です。吸気バルブは1つ、排気バルブも2つとすれば、全部で5バルブのバルブ配置となる案です。これは切換式の可変バルブ機構を使う案です。
<低出力時>第1と第2の掃気バルブ共、吸気バルブのみで出せる出力以下では冷却した排気ガスを導入します。このとき第1バルブは掃気導入行程時にのみ開き、第2バルブは吸気口程時にのみ開きます。吸気と第2掃気ポートにある2つのスロットルバルブの開口比で機関の出力を調整します。
<出力切換時>このときまでに第2掃気ポートにあるスロットルバルブは全閉となり、吸気ポートからの混合気のみで運転されます。
 高出力モードに切換わると第2ポートの掃気は新気に切換わり、第1ポートは新気と排気の混合に切換わります。そして、第1掃気バルブが掃気導入行程で、第2掃気バルブが吸気行程でも開くようになります。吸気バルブから濃い混合気が、第2掃気バルブからの新気と排気を混合した掃気が燃焼室に導入され、気筒内で適切な混合気を作ります。このとき出力段差が出来るのを避けるため、燃焼室に導入される酸素量等が変化しないように掃気の新気の割合を調整する必要があります。
<高出力時>第1掃気ポートのスロットルバルブを除除に開いていきます。同時に第2掃気ポートの新気の比率を上げて行きます。このようにして最高出力まで連続的に制御します。
掃気導入行程での掃気の量は出力に関係がありませんから掃気導入行程ではスロットルバルブで強く絞りこむ必要が有りません。このようにすることによりスロットルバルブによりあまり絞り込むことなく出力をコントロールすることができますので、ポンピングロスの発生を抑制できます。

20.6サイクル機関の等間隔爆発となる気筒配置ついて教えてください。

2008年12月 25日

 基本は2サイクルと同じ配置となるのですが、3の倍数の気筒数では同じには出来ません。以下、整理しますと、
気筒配置 クランクピン配置
L1 
L2     180° 
L3     360° 4サイクルでのL2と同様に1次が残る。
L4     90°  2サイクル船外機で使われている配置。
90°V4  180°  
L5     72°
L6     180° 2次振動が大きい。1次偶力も残る。
(V6 適切なVアングルを計算すると0°となる。すなわちL6になってしまう。)
W6    120°  シリンダー角0°,60°,120°
水平対抗4 180° 2次は消せるが、1次偶力は残る。
V8   45°,135°
W9    60°,120° 2次偶力残る
V10    72°  V角36°,108°,180°
90°V12  90°  2次残る

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6サイクル機関の開発を担当される方へ

 10%の効率向上に着目し6サイクル機関の開発に着手される方、回生機付6サイクル機関の可能性に着目して開発研究に着手される方、など色々いらっしゃると思います。
 6サイクル機関は4サイクル機関と似ていますが様々な点で異なります。今までの経験が役立たない領域があります。内燃機関の世界では4サイクル機関が正しいと言っていれば、100年以上もの間それが正解でした。そして非常に多くの技術者が4サイクル機関を改良し続けてきたのです。付帯する細かなパーツは変化しても、機構自体は複雑化せず、単純な構造のまま色々な機能がバランス良く働くように実にうまく出来ています。
 今ここで6サイクル機関の開発を提案、もしくは指示を受けて開発に着手している方達は、新しい様々な課題に直面することでしょう。 しかし、それを実現性を否定する理由にしないで、可能性を信じることです。 商品性で比較されると、なかなか4サイクルを凌駕するのは難しいと思います。しかしそうであったとしても、それはあなたの能力が無いのではありません。相手が100年の歴史の中で磨かれた来た4サイクル機関だということなのです。バルブの機能、ガスの流れ、1つ1つ内燃機関としてどうあるべきか、自ら考えトライし着実に進めて行くことが大事です。

 

案件1056523 Feb 22,2005 登録 特許情報提供事業者リスト集に登録

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