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翻訳マネージャーコラム

中国語の簡体字と繁体字について

2019年09月20日

中国語の簡体字と繁体字について

海外からの訪日観光客および外国人移住者の数が年々上昇し、国内ではインバウンド対策の取り組みが行われています。実際に国籍別で訪日外国人の数を見ると、第一位が中国(本土)、2位が韓国、続いて台湾、その他の中国語圏と、およそ訪日外国人の約半数を中国語話者が占めており、中国語話者へのサポートの重要さが伺えます。また日本企業の中国進出および中国企業の日本進出も活発で、貿易においても大切なビジネスパートナーでもあります。中国をはじめとして台湾や香港とも重要な結びつきがある現在、中国語の翻訳・通訳の需要も高まっています。今回の記事では中国語翻訳において無視できない簡体字と繁体字について詳述します。

簡体字と繁体字の違い

「漢字は昔中国から来た」というのは皆さん学校で教わることですが、実際に日本が使っている漢字と、中国語圏で使用されている漢字には大きな違いがあります。まず一言に中国語といっても文字の種類には簡体字と繁体字があります。もともと中国では繁体字が使われていて、今は旧字体とも呼ばれています。特徴としては画数が多く非常に複雑です。明治時代や大正時代などの文書を見ると日本でも画数の多い漢字が使われていましたが、それらとほぼ同様と言っても過言ではありません。一方簡体字というのは1950年代に識字率をあげることを目的に、中国本土で実施された政策で作られ使用が始められました。複雑な繁体字をシンプルにし、誰でも覚えやすいように作られた新字体です。しかしながら簡体字と繁体字の大きな違いは表記方法だけではなく、表現そのものにも見られます。例えば日本語の『軽食』は繁体字でも『軽食』ですが、簡体字では『小吃』と言います。中国語翻訳の際には表記だけでなく表現方法にも注意を払う必要があります。 簡体字と繁体字の使用地域についてですが、一般的には、簡体字は中国本土、そしてシンガポールやマレーシアの中国語話者によって使用されています。一方繁体字は台湾、香港、マカオを中心に使用されていますが、一部のシンガポールとマレーシアでも使用例は見られます。

どちらを使ったらいいのか?

インバウンドビジネスに関わる場合は簡体字と繁体字の両方に翻訳したほうがメリットがあると思われます。インバウンド対策では、観光地での案内板や施設の説明、展示物の説明、パンフレット、旅館などの宿泊施設の案内、レストランのメニュー、お店での商品説明、公共交通機関の案内の翻訳が挙げられますが、公共の場には繁体字圏から来た人々と簡体字圏から来た人々が混在しています。簡体字もしくは繁体字のひとつに絞ってインバウンド対策することは賢明ではありません。なぜなら、簡体字圏と繁体字圏の人々はお互いの文字を完璧には理解できないからです。簡体字だけで翻訳した場合、香港や台湾からの観光客はその翻訳文が理解できず結果英語を頼らざるをえない場合も多々とあります。また、中国本土の人々を対象とした翻訳サービスだと、繁体字を使用する中華圏の人々はお客として扱われていないと不満と疎外感を覚えるでしょう。同様に繁体字だけで翻訳サービスをすると簡体字圏の人々にとっておもてなしが十分にできているとは言えません。日本国内におけるインバウンド対策は両者を対象にするべきだと主張します。 一方で、日本から外に出すものの翻訳文に両方の字体を混用するとデメリットが生まれかねません。例えば中国本土の企業にある商品を売りたい時に、商品のマニュアルや企業説明が簡体字と繁体字両方で記述されていると、相手側は、『自分たちのために作られた翻訳ではないんだな』と感じ、最悪の場合おもてなし精神も誠意も見受けられないと受け取ってしまうかもしれません。簡体字圏のみをターゲットとしているケースでは、その字体のみで翻訳したほうが無難でしょう。別のデメリットとしては両字体で翻訳するとその分コストがかかってしまうということです。台湾からの観光客が多いなど明確にわかっている場合は、マジョリティに的をしぼって翻訳するのもコスト削減には有効です。

中国語翻訳はプロに依頼を

中国語翻訳といっても簡体字と繁体字の二つの字体があり、それぞれ表記方法も表現方法も異なります。一般的に中国語翻訳を依頼する場合には字体の指定を求められるので、ターゲットに合わせて選んでください。翻訳会社を選ぶときのポイントとしては、簡体字と繁体字それぞれの特徴に精通した翻訳者がいること、ネイティブチェックを行っていること、そして中国語翻訳で経験と実績があることなどが挙げられます。翻訳会社の中には成果物のサンプルをウェブサイトで紹介しているところもあるので、いくつかの会社を比較し、最適な会社を選ぶことをおすすめします。

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