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中国語翻訳のコラム

中国語と広東語の違いとは?特徴や使われる地域を徹底解説

2025年04月14日

「中国語と広東語って同じじゃないの?」と疑問を抱いたことがある方も、多いのではないでしょうか。

日本で中国語と言えば、一般的に「北京語(標準中国語)」を指すことがほとんどです。

「広東語」は香港映画やアジアのポップカルチャーを通して耳にすることが多く、両者は混乱しやすい関係にあります。

しかし実際には中国語は大きな言語グループの総称であり、その中に含まれる方言として広東語が存在しています。

本記事では、次のようなポイントを中心に、中国語と広東語の違いや特徴をわかりやすくまとめました。

最後まで読んでいただければ、自分はどちらを学ぶべきかがクリアになります。

これから中国語を学ぼうとしている方、また広東語に興味を持っている方は、ぜひ参考にしてください。

そもそも広東語とは中国の方言の一つ

広東語(カントン語)は、中国語に含まれる方言の一つで、主に中国南部の広東省・香港・マカオなどで使われています。

広東語の主な特徴は以下の通りです。

  • 声調(音の高低や抑揚)が6〜9種類と豊富
  • 古い中国語の発音が多く残っている
  • 書き言葉には「繁体字」を使用

日本ではあまり馴染みがありませんが、広東語は音楽や映画・アジア圏のポップカルチャーを通じて、世界中で親しまれている言語です。

香港映画やカントンポップ(広東語のポップス)を通じて耳にしたことがある方も多いでしょう。

中国語の種類一覧

「中国語」と一括りにされがちですが、中国には多数の方言が存在しています。

これらの違いは、日本の方言のようなアクセントの違いではなく、お互いに通じないレベルの言語的差異があります。

以下では、代表的な中国語の種類と使用地域をまとめました。

言語名 主な使用地域
普通話(標準中国語) 中国全土
台湾
シンガポール
広東語 広東省
香港
マカオ
上海語 上海
江蘇省南部 など
閩南語 福建省
台湾
東南アジア
客家語 広東省内陸部
台湾
マレーシア など
その他方言 中国各地(湖南・江西・山西など)

地域によって通じる言語は異なります。

例えば、北京で話されている標準中国語(普通話)は、広州や香港では通じないことも珍しくありません。

中国語を学ぶ際は、どの地域や文化と関わりたいのかを明確にすることが重要です。

目的や関心に合わせて学ぶべき言語を選ぶことで、より実用的で充実した学習になります。

中国語と広東語の違いを音・単語・文法で比較

中国語(普通話)と広東語の違いは、見た目の漢字以上に話し方や表現方法に強く現れます。

中でも以下の3つのポイントを比較すると、それぞれがまるで別の言語のように感じられるかもしれません。

これらの違いは、広東語の個性的で豊かな文化的背景とも深く関係しています。

学習前に把握しておくことで、広東語の魅力や奥深さがよりよく理解できるでしょう。

発音(声調)の違い

大きな違いの一つは、「声調(トーン)」です。

声調とは、同じ音でも高低や抑揚によって意味が変わる中国語独特の音の仕組みを指します。

言語 声調の数 特徴
普通話 4つ(+軽声) 比較的シンプルで学びやすい
広東語 6〜9つ 微細な違いで意味が変わる

例えば、同じ「ma」でも発音が少し違うだけで意味は全然変わります。

発音(声調)の違い

声調 普通話 広東語 意味
1声 まー⇑
(高く平ら)
まー⇑
(高く平ら)
2声 ま⇗
(上がる)
ま⇗
(上がる)
3声 ま⇘⇗
(下がって上がる)
まー⇒
(中くらいで平ら)
4声 ま⇓
(強く下がる)
まー⇓
(低く下がる)
5声 まー
(低く平ら)
疑問を作る助詞
6声 まっ
(短く下がる)

広東語では、8通り以上のバリエーションがあることもありますが、主に上記の6声を覚えておけば問題なく会話できるでしょう。

同じ音に聞こえても、イントネーションの違いで意味が異なるため、まず耳を鍛えることが学習の第一歩になります。

語彙の違い

使う単語にも大きな違いがあり、広東語は古典中国語の影響を色濃く残しつつ、独自に発展した語彙が豊富に存在します。

意味 普通話 広東語
ありがとう 謝謝(シエシエ) 多謝(トーチェ)
ごめんなさい 對不起(ドゥイブチー) 對唔住(トイムジュ)
~がない 沒有(メイヨウ) 冇(モウ)
なに? 什麼(シェンマ) 咩(メー)

漢字をしっていても、発音・意味が異なるケースが多いため、見た目だけで判断するのは危険です。

香港映画やドラマでよく使われる言葉も、普通話しか知らない方には通じないことがあります。

文法・語順の違い

基本的な語順(主語 + 動詞 + 目的語)は共通していますが、助詞の使い方・否定表現・完了形などに明確な違いがあります。

用法 普通話 広東語
否定 不(ブ)、沒(メイ) 唔(ム)
完了 了(ラ) 咗(ジョ)
文末助詞 吗(マ) 呀(アー)、咩(メー)など

広東語は特に文末助詞のバリエーションが豊富で、同じ意味の文でも語気や感情のニュアンスを細かく変化させることができます。

例文比較:「ご飯を食べた?」

  • 普通話:你吃飯了嗎?
    (ニー チーファン ラ マ?)
  • 広東語:你食咗飯未呀?
    (ネイ シク ジョ ファン メイ アー?)

また、「咗(ジョ)」による完了形や、「唔(ム)」による否定表現など、普通話とは異なる言い回しが多く存在するのも特徴です。

方言の枠を超えて、別言語と呼べるほどの違いがあることがわかります。

中国語と広東語が使われている地域の違い

中国語(普通話)と広東語は、どちらも中国語という大きなくくりに含まれますが、使われている地域は異なります。

中国語と広東語が使われている地域

それぞれの言語がどこで使われているのかを確認してみましょう。

背景についても詳しくまとめているのでぜひ参考にしてください。

中国語(普通話):中国全土・台湾など

普通話は主に以下の地域で使用されています。

  • 中国全土
  • 台湾
  • シンガポール
  • マレーシア

普通話は現代中国の標準語で、教育・放送・行政など公式な場で使われます。

北京語音(北京の発音)を基にしており、1949年の中華人民共和国成立後、全国統一言語として普及が進みました。

台湾では国語(グオユ)と呼ばれ、発音や語彙に若干の違いがあるものの、相互理解は可能です。

広東語:香港・マカオ・広東省など

広東語は、中国南部を中心に以下の地域で使われています。

  • 香港
  • マカオ
  • 広東省(広州など)
  • 海外華僑社会

特に香港は広東語が行政やメディアの主要言語であり、日常生活でも広く使われています。

マカオもポルトガル語とのバイリンガル体制ではありますが、住民の母語としては広東語が圧倒的です。

広東省でも家庭や地域コミュニティでは広東語が話されますが、学習教育では普通話が中心のため、若年層では普通話とのバイリンガル化が進んでいます。

また広東語を話す移民が早くから渡った地域(カナダのバンクーバーなど)では、今でも広東語話者が多く見られます。

中国語と広東語のどっちを学ぶべき?目的別のおすすめ言語

中国語(普通話)と広東語、どちらを学ぶべきか悩む方も多いのではないでしょうか。

以下では目的に応じて、どちらの言語が適しているかを具体的に紹介します。

中国語と広東語のどっちを学ぶべき?目的別のおすすめ言語

 

自分の目標に合った言語を学んで次のステップに進んでください。

中国本土に関わるなら中国語(普通話)

以下のような方は、中国語(普通話)を学びましょう。

  • 中国本土とのビジネス関係がある
  • 中国の大学に留学したい
  • 中国旅行を効率的に楽しみたい
  • 将来的に中国語圏でのキャリアを検討している

中国語(普通話)は中国全土で使われる標準語で、幅広い場面で必須となる言語です。

特に中国本土でのビジネスや留学・旅行を考えている場合は、普通話を学びましょう。

語学検定(HSK)や語学留学プログラムなども普通話を前提にしたものが多いため、将来の選択肢が広がります。

香港・マカオに関わるなら広東語

一方で以下に当てはまる方は、広東語を学ぶのがおすすめです。

  • 香港で働く・駐在する予定がある
  • 香港・マカオ旅行で現地文化を深く楽しみたい
  • カンフー映画やCantopopのファン
  • 広東省の華僑コミュニティと関係がある

香港・マカオ・広東省に関わる予定がある場合は、日常的に使われている広東語が有効です。

カンフー映画や広東語ポップスが好きな方にも、広東語は欠かせません。

さらに広東語は海外の華僑コミュニティでも広く話されているため、これらのコミュニティと繋がりたい場合にも役立ちます。

中国語と広東語の学習のしやすさを比較

中国語(普通話)と広東語のどちらを学ぶべきか悩んだとき、学びやすさは大きな判断材料になります。

以下では発音・文法・教材の充実度など、語学学習の観点から両者を比較しました。

比較項目 中国語(普通話) 広東語
発音
(声調)
比較的シンプルで習得しやすい 微妙な違いの聞き分けが難しい
語彙 統一された標準語のため学習しやすい 地域差が大きく独自の単語も多い
文法 英語に似た語順で比較的理解しやすい 基本的な語順は同じだが、
語気助詞など独特な表現も多い
教材 学習書・動画・アプリが豊富 限定的
学習環境 勉強仲間を見つけやすい 独学の工夫が必要な場合も
習得スピード 比較的スムーズに成果を実感しやすい 時間がかかることも多い

効率よく学びたいなら、教材や学習環境が整っている中国語(普通話)がおすすめです。

特に初心者は普通話から始めて自信をつけるのも一つの選択肢でしょう。

一方で文化を深く味わいたいなら、現地のリアルな暮らしと強く結びついている広東語に挑戦する価値があります。

学習のハードルはやや高めですが、通じ合えたときの感動は大きいでしょう。

中国語と広東語に関してよくある質問

以下では中国と広東語に関して多くの人が気になる疑問をQ&A形式でまとめました

気になる項目がある方は事前に疑問を解消してください。

広東語は中国本土でも通じる?

結論、一部地域では通じますが全国的には通じにくいです。

広東語が使われているのは主に広東省であり、中国全体では普通話が使われています。

中国政府も普通話の普及を強く推進しており、教育・ビジネス・放送などの場では普通話が基本です。

中国語(普通話)だけでも香港旅行は可能?

普通話だけでも旅行は可能ですが、少し注意が必要です。

観光地やホテル・主要な店舗では普通話で対応してくれることが多いものの、地元の方たちは日常的に広東語を話しています。

現地の文化や人間と深く交流したい場合は、簡単な広東語のフレーズを覚えておくとよいでしょう。

広東語と北京語の違いは?

以下に広東語と北京語の違いをまとめました。

比較項目 北京語 広東語
関係性 普通話の基盤となった方言 中国語の一方言だが、
普通話とは異なる
主な使用地域 北京・河北など北部 香港・マカオ・広東省
発音(声調) 4声
(比較的シンプル)
6〜9声
(音の違いが複雑)
通じやすさ 中国全土で通じやすい 地域限定で通じる

北京語は普通話の元になった言語のため、北京語を話せれば普通話もほぼ問題なく使えるでしょう。

一方で広東語は発音・語彙・文法において大きく異なるので、広東語と北京語は別物として捉えておきましょう。

中国語と広東語の違いを知り、自分に合った言語を学ぼう

中国語と広東語のどちらを学ぶかは、学習の目的や関わる地域によって異なります。
以下ではこれまで紹介した内容をもとに、自分に合った言語を選ぶヒントをまとめました。

【中国語(普通話)がおすすめな人】

  • 中国本土・台湾・シンガポールでのビジネスや生活を考えている
  • 多くの中国語話者と広くコミュニケーションを取りたい
  • 留学や中国語検定(HSK)など、学習の成果を証明したい

【広東語がおすすめな人】

  • 香港・マカオ・広東省など、特定の地域と深く関わる予定がある
  • カンフー映画・Cantopopなど、広東語文化に強い関心がある
  • 人とのつながりを大切にし、密着した交流や旅行を楽しみたい

どちらの言語も魅力と学ぶ価値があるため、まずは学ぶ理由や使いたい場面を明確にしましょう。

  • キャリア・学業に活かしたい:普通話でまずは基礎を鍛える
  • 文化・交流・現地体験を重視:広東語でより深く関わる

自分の目標に合った言語を選べば、楽しみながら続けられて上達もしやすくなります。

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