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翻訳マネージャーコラム

薬事法と薬局法との違い

2017年08月29日

JP、USP、ヨーロッパ・・・薬局方の英語翻訳とは?

グローバル化の波に合わせるように、医療翻訳の重要度は高まってきています。
エボラ出血熱がアフリカ大陸を中心として、猛威を振るったのを覚えている方はいいるでしょう。あの時、伝染病の脅威を感じた方も少なくないはずです。
エボラ出血熱は、人類共通の疫病であるはずですが、実はこういった病気に対処するときも、各国によって使える薬、使えない薬などがそれぞれに定められているのです。
それが薬局方や薬事法の分野です。
こうした薬に関する内容がしっかり翻訳されていないと、世界の医療現場が混乱してしまいます。特に、英語への翻訳はとても重要です。
今回は薬局方、薬事法について、そしてその翻訳の現場をご紹介します。

1. 薬局方って何?

薬局方とは、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」の第41条により、医薬品の性状及び品質の適正を図るため、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見をきいて定めた医薬品の規格基準書のことをいいます。
そして、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」とは、いわゆる「薬事法」のことをいいます。

これらの関係性については後ほど説明します。

日本薬局方の構成は通則、生薬総則、製剤総則、一般試験法及び医薬品各条から成り立っています。収載医薬品については、我が国で繁用されている医薬品が中心となっています。
この薬局方の歴史はなんと130年ほど前まで遡ります。
江戸時代に蘭学者の1人である中川淳庵が、オランダより持ち込まれた医学書を翻訳したところから始まり、1886年6月には「藥局方」が明治政府により公布されました。

日本における薬局方は、この1886年の版を初版となっており、そこから130年の間、医薬品の開発、試験技術の向上によって改定がなされてきました。現在は2016年に第十七改正日本薬局方が公示されています。
薬局方は「規格基準書」、つまり薬を作る際の「おきまり」のようなものです。
日本の薬局方は、英訳すると、「Japanese Pharmacopoeia:JP」になります。
日本における製薬の企画書というわけですね。

2. 薬事法って? 薬局方と何が違うの?

薬局方と共に、医療翻訳の現場で出てくるのが、薬事法に関するお話です。
薬事法と薬局方っていったい何が違うの? 医療現場で働いていない方には無縁の話で、その違いがよくわからないかもしれません。
薬事法とは、正式名称を「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」と現在で呼称しています。
つい数年前までは「薬事法」だったのですが、法律改正によって、この題に改められています。

薬事法の中身は以下のとおりです。

第一条  この法律は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品(以下「医薬品等」という。)の品質、有効性及び安全性の確保並びにこれらの使用による保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止のために必要な規制を行うとともに、指定薬物の規制に関する措置を講ずるほか、医療上特にその必要性が高い医薬品、医療機器及び再生医療等製品の研究開発の促進のために必要な措置を講ずることにより、保健衛生の向上を図ることを目的とする。
(国の責務)

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
(昭和三十五年八月十日法律第百四十五号)
最終改正:平成二八年一二月一六日法律第一〇八号

薬事法とは、その名のとおり法律です。この法律に基づいていない医薬品は「薬事法違反」となり、逮捕などの罰則がつきます。
たまにニュースなどでみる、“癌に効く水”や“怪しげな媚薬”を販売して逮捕されているのは、この薬事法に抵触して逮捕されるケースなのです。
また、アフィリエイトサイトで健康食品と謳った商品を広告し、行政指導が行われるのもこのケースに当てはまります。
そして、薬局方はこの法律に基づいた、基準書ですので非常に重要です。

なぜ薬局方・薬事法の英語翻訳が必要なのか
仮に日本でエボラ出血熱などの猛威が振るわれたとしても、これらの病気に対する薬が、日本薬局方や薬事法の基準に達しなければ、使うことができません。

・アメリカの薬局方は米国薬局方(United States Pharmacopeia: USP)
・ヨーロッパでは、ヨーロッパ薬局方(European Pharmacopoeia: EP)

というように地域によって、それぞれ異なる薬局方が定められているからです。
逆に日本で使えない薬が、海外では使えるということもあるわけです。その例として顕著なのが、新薬とジェネリック医薬品の問題です。
後発医薬品(ジェネリック医薬品)は新薬よりも安価であり、安全性の面など良い部分もありますが、新薬と比べると、圧倒的に投資がされていないわけです。ジェネック医薬品の開発が薬事法違反になったケースもあるほどです。
ですから、これら薬局方の翻訳の精度は、他の翻訳と比べても高くなければならないのです。

このような現状があると、翻訳者も医療現場にいなければならないような気がしてきます。
もちろん、実際に医療翻訳を手掛けている人のなかには、医療を学んだお医者さんが翻訳を手掛けていることもあります。
一方で、世の中には、医療翻訳専門の専門学校もあります。こちらは特に翻訳に産業翻訳に特化して学ぶため、その精度の高さは折り紙付きだと言えるでしょう。

4. 医療翻訳は翻訳会社に相談を!

医療翻訳の現場は、その専門性の高さと精度を要求されます。
人命に直結することですから、当たり前と言えば当たり前のことですね。自分で翻訳をすることは、あまりに無謀な難題かもしれません。
そんなときは翻訳会社に、翻訳をお願いする文書のレベルや、文字数などをじっくり相談しましょう。簡単に見積もりをしてくれて、今のあなたにピッタリの翻訳者を紹介してくれることでしょう。
なかには、前述した医療従事の契約者が登録している翻訳会社もあります。医療翻訳は、ぜひ医療分野の経験豊富な翻訳会社にご相談ください。

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