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医療用語はドイツ語から英語へ

2017年03月16日

医療用語はドイツ語から英語へ

医療が発達するにつれ、数多くの治療法や新薬が誕生し、それによって人の寿命も延びてきました。
もともと医療という分野は長い歴史をたどってきたものですが、では医療技術や医療機器以外に、医療用語はどのような歴史をたどってきたのでしょうか。
また、日本の医療にはドイツ語が多く使われていましたが、現在の医療現場はどうでしょうか?

1. 医療現場でドイツ語が使われた理由

医療とは深い専門知識が必要となる分野です。そのため、専門家でもないかぎり、なかなか理解できない部分も多々あります。しかし、医療に関して以前はよく目にしていたことがありました。それは、医療の現場では主にドイツ語が使われていた、ということです。少なくとも、日本においては。
医療をテーマにした小説やドラマ、映画などではドイツ語を使う描写が多いため、医療の専門用語はドイツ語を使うのだという認識が広く浸透しました。
では、なぜ日本の医療現場ではドイツ語を使うようになったのでしょうか。
これは日本が西洋の医療を学び始めた当時、参考としてドイツ医学を採用したからです。このほか、保険制度や法律に至るまで、日本は西洋化においてドイツの制度を参考にしている部分が多いといわれています。
明治新政府は日本の医師たちにドイツ留学を命じ、帰国した彼らによって日本の医療はドイツ医学がベースとなりました。もちろん、医療用語もドイツ語のものが使われるようになったのです。

しかし、日本の医療がドイツ医学を参考にしていたのは、実は明治時代に入ってからのことではありません。さらにさかのぼった、江戸時代からのことです。
江戸時代、徳川幕府は欧米諸国ではオランダのみと貿易を行っていました。そのため、医学分野でもオランダの影響を強く受けました。
日本初の西洋医療書の翻訳物、「解体新書」。これはオランダ語の医学書『ターヘル・アナトミア』を杉田玄白、前野良沢らが翻訳し、まとめたものとして知られています。
しかし、オランダ語の原書『ターヘル・アナトミア』も、元をただせばドイツ人医師ヨハン・アダム・クルムスの著書をオランダ語に翻訳したものでした。
つまり、日本の西洋医学導入は、明治時代以前からドイツ医学をベースにしており、その影響で日本はドイツ医学の導入を決定したようです。

2. 現在の医療現場では英語が使われている

「医療現場ではドイツ語が使われている」というイメージが強いため、現在も医者になるのであればドイツ語が必要だと思っている人も少なくないようです。
しかし、今の医療現場では、専門用語については英語のものを使うことが主流となっています。もちろん、なかには現在もドイツ語を使っているお医者さんもいますが、ほとんどのカルテや論文は英語で書かれているようです。
医療で英語が使われるようになった最大の理由は、やはり世界で最も使われている言語が英語だからです。
同時に、日本の医療がドイツ医学をベースとしていたのは第二次世界大戦前までであり、戦後は医療現場においても英語が普及してきたことも、理由として挙げられます。

とはいえ、現在でもドイツ医学用語は日本の医療現場にも残っています。
たとえば、医療には不可欠なカルテ。骨折をしたときに使用するギプス。薬が飲みやすくなるオブラート。これらの言葉はドイツ語です。
ドイツは長年の間、医学だけでなく保険なども含めた医療制度において、世界で最も成功を収めている国のひとつです。それも日本が明治時代に入り、ドイツの医療制度を導入した理由のひとつでした。同じようにドイツ医学は、世界中に強い影響を及ぼしているようです。
ただし、医学の普及と使われる言語は、関連している部分もあり、また違うものでもあります。それが、現在は日本でも医療現場で英語が使われている理由でもあります。

3. 日本語によるカルテも増加中

日本の医療現場で使われる言語がドイツ語から英語に移り変わりましたが、もちろん日本では日本語が使われることも少なくはありません。最もわかりやすいのは、カルテです。
医療でドイツ語が使われることの多かったカルテ。それが英語に移り変わったことで、カルテも英語で書かれるようになりました。
一方、現在は医療現場では患者さんが様々な情報の開示を医療機関に求めることがあり、それはカルテの内容も同じです。
患者さんにカルテの開示を求められた場合、英語やドイツ語で書かれているカルテをそのまま見せても、患者さんは理解できないでしょう。これでは情報開示とはいえません。そのため、カルテの書き方はドイツ語や英語の走り書きではなく、英語できれいに書くか、もしくは日本語で書くことが勧められています。
また、今は紙のカルテではなく電子カルテが普及しています。そこには英語ではなく日本語で診察内容などを書かれており、結果的に医療現場では日本語による記録が一般的になっています。

4. 医療における翻訳の必要性は?

このように医療の歴史において使われる言語もドイツ語から英語へ、そして日本国内では日本語へと変化していきました。
日本では日本語を使うことが一般的になったのであれば、医療分野の翻訳は必要ないように思えるかもしれません。しかし、医療翻訳の重要性は日本の医学でも変わらないのです。
まず、日本の医療の現場では日本語が使われるようになりましたが、医療業界全体を見れば英語を使うことが一般的です。
そして、医療技術は世界共通のものです。そのため、海外から医療技術を取り入れることもありますし、日本の技術を海外に発信することもあります。このとき、各国で作成された治療や副作用に関する報告書を用いて、日本に最新技術を取り入れる必要があります。
また、医療に関する学会の発表は、海外では英語が使われています。同様に、医学に関する学術論文は、英語で書いて提出することが必要となる場合もあります。
現場では日本語が使われたとしても、世界の医療現場では英語が使われるため、英語翻訳は必要不可欠です。
医療において使われる言語は移り変わっても、医療翻訳が必要なことに変わりはないのです。

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